道具研について

2022年5月28日

めざす未来

「伝統芸能の道具に携わる人が、安心して技を繋いでいけるミライへ」
伝統芸能の道具(衣裳、小道具、楽器など)を製作する現場は、原材料調達や後継者育成など、多様な課題を抱えています。これらの課題の根源には、経済面の脆弱性や情報共有の不足があると考えています。

私たちは、伝統芸能の道具に携わる人がこれらの課題を克服し、誇りと希望を持って仕事を続けられるように活動します。

活動の内容

1)支援制度の情報提供
伝統芸能の道具製作が、安定した生業として成り立つために、道具製作者が利用できる国や自治体、民間団体などの支援制度の情報を収集・精査して届けます。また、制度に不備がある場合はそれを指摘し、改善するように働きかけていきます。

2)交流を促す機会の創出
道具に携わる人たちが課題を共有し解決できるよう、交流を促す機会を創出します。「異なる役割、立場の交流(例:技術者と実演者の交流)」や「他のジャンルとの交流(例:能楽と邦楽の交流)」を活性化させることで、解決できる課題が多くあると考えています。

設立趣意書

「伝統芸能道具のミライを考える」って何だろう

 「道具から日本の伝統芸能のミライを考えたい」というのが、芸能道具ミライ研究室(「道具研」)のスタートラインです。

伝統芸能と道具と製作者と 

 伝統芸能には、楽器や小道具、衣装、鬘(かつら)などの道具が不可欠です。伝統芸能や道具についての調査研究を重ねるほどに、両者は運命共同体だと強く感じるようになりました。そして伝統芸能と道具を繋いでいるのが製作者の技です。

 それにもかかわらず、芸能の道具製作者の技の素晴らしさや製作環境の現状、特に後者は、あまり注目されてこなかったのではないでしょうか。

ミライのタネを見つけ出す

では道具研は何から始めるか。伝統芸能の道具製作の現状を知って、ミライに繋がる小さなタネを見逃さずに集め、発信していくことが大切だと考えています。中でも注目しているのは、経済を含めた道具製作環境と、ミライを切り拓くための新たな人的交流です。

道具研では、これらのミライのタネを見つけ出してきて、「的確な情報発信」と「新たなネットワーク構築のための機会創出」に取り組んでいきたいと思います。

ミライを拓(ひら)く後押しをしたい

伝統芸能の表現が様々なジャンルで独特の魅力を放つように、道具製作も、修練と工夫の積み重ねにより、研ぎ澄まされた各々の世界を持っています。深化した道具製作の技と、開花する芸能表現。特に、これまで焦点化されることの少なかった道具製作の立場に寄り添って考え、行動して、「伝統芸能のミライを道具から拓く」後押しをしたいと考えています。


芸能道具ミライ研究室
共同代表 前原恵美
田村民子

団体の概要

名称
芸能道具ミライ研究室
MIRAI Lab for Stage Properties for Japanese Traditional Performing Arts

設立
2020年

共同代表
 
田村民子 TAMURA TAMIKO 伝統芸能の道具ラボ主宰、ライター
 伝統芸能の裏方、道具製作者を取材していくうちに、多くの課題を抱えていることに気付きました。そこで、作れなくなった道具を復元する「道具ラボ」の活動を開始。しかし、続けていくうちに課題の底には「お金」の問題も潜んでいることを実感しました。多様な分野の専門家と連携して、前進していきたいです。

 前原恵美 MAEHARA MEGUMI 東京文化財研究所 無形文化財研究室長
実演家―企画・制作者―「伝統芸能の道具」製作者―原材料製造者を結んで、日本の伝統芸能が抱える課題解決の糸口にしたい。伝統芸能の継承は、それ自体SDGsの縮図のように見えます。芸能にかかわる様々な人々が、お互いの繋がりを感じながら芸能を継承していけるように、研究者として何ができるのか考え続けたいです。

パートナー
 
池本桂子 IKEMOTO KEIKO 小さな団体の事務局サポート、office KAYU代表
 子どもの頃、祖母は私に歌舞伎の楽しさを教えてくれました。以来その引力に導かれ、いまこの現場にたっています。伝統芸能を彩るたくさんの道具が、存亡の機にある現代。社会や環境の変化に伴う課題、経済的な困難を、人々の協力、連携の力で乗り越えていくための「つながり」をつくっていきます。

 早坂毅 HAYASAKA TAKESHI 税理士・行政書士、(有)サテライト・オフィス代表
 世の中には、お金だけでは測れない価値あるものがたくさんあります。伝統芸能の道具も、自然環境や歴史的環境も、その価値を金銭では測れません。しかし、その技術や知識の伝承、維持、保存には、それを守る人たちの経済的安定が不可欠です。価値あるものを後世に残すためのお金の流れを作りたい。そんな気持ちから、この活動を始めました。

(五十音順)

連絡先
info@mirailabjtpa.com

Posted by 道具研